Classless Inter-Domain Routing(CIDR, クラスレスドメイン間ルーティング) は、IPアドレスの割り当てとルーティングを柔軟に行うための方式です。従来の クラスフルアドレッシング(Classful Addressing) に代わり、より効率的なIPアドレス管理を可能にします。
CIDRの基本概念
CIDR は、IPアドレスを 「アドレス / プレフィックス長(サブネットマスク)」 の形式で表します。
例
192.168.1.0/24192.168.1.0はネットワークアドレス/24はネットワーク部のビット数(= サブネットマスク 255.255.255.0)
この場合、最初の 24ビット がネットワーク部で、残りの 8ビット(2⁸ = 256個) がホスト部として使用できます。
CIDRと従来のクラスフルアドレッシングの違い
昔は A/B/C クラス の固定サブネットマスクが使われていました。
| クラス | 先頭ビット | デフォルトサブネットマスク | IP範囲 |
|---|---|---|---|
| Aクラス | 0xxxxxxx (0-127) |
255.0.0.0 (/8) |
16,777,216個 |
| Bクラス | 10xxxxxx (128-191) |
255.255.0.0 (/16) |
65,536個 |
| Cクラス | 110xxxxx (192-223) |
255.255.255.0 (/24) |
256個 |
CIDR は、この固定クラスに縛られず、任意のプレフィックス長(/1 ~ /32)でネットワークを定義できます。
例えば:
10.0.0.0/16→ 65,536 IP(クラスB相当)10.0.0.0/20→ 4,096 IP10.0.0.0/28→ 16 IP
結果: 無駄なくIPを割り当てることができ、IPv4アドレスの枯渇対策にも役立っています。
CIDRのメリット
- 柔軟なサブネット設計
- クラスに縛られず、必要なIP数に応じたサブネットを作成可能。
- IPアドレスの節約
- 必要最小限のIPを割り当てることで、無駄を削減。
- ルーティングの効率化(経路集約)
- 例:
192.168.0.0/24~192.168.3.0/24をまとめて192.168.0.0/22としてルーティング可能。
- 例:
CIDRの活用例
- AWS VPC(仮想ネットワーク)
10.0.0.0/16をVPC全体に割り当て10.0.1.0/24,10.0.2.0/24などサブネットを作成
- インターネットプロバイダのIP割り当て
- ISPは
203.0.113.0/24のようなCIDRブロックを企業に割り当てる
- ISPは
- ファイアウォールやルート設定
192.168.1.0/25のように特定の範囲に通信制限を適用
まとめ
✅ CIDR は、クラスに依存せずに 柔軟にIPアドレスを割り当てる方式
✅ /8 ~ /32 の 任意のプレフィックス長 を使用可能
✅ IPアドレスの節約 & ルーティングの最適化 に貢献
現在のネットワーク設計では、ほぼ CIDRが標準 になっています!