1. EC2でPostgreSQLを運用する場合
メリット
✅ カスタマイズ自由度が高い
→ OS、PostgreSQLのバージョン、パラメータ、拡張機能(PostGISなど)を自由に設定可能。
✅ コストを最適化しやすい
→ RDSの管理コストがかからず、小規模構成なら安く抑えられる。
✅ サーバーごとに細かいチューニングが可能
→ 高速なストレージ(EBS)、専用のキャッシュ、カスタムバックアップスクリプトなどを組み込める。
デメリット
❌ 運用管理の負担が大きい
→ パッチ適用、バックアップ、スケーリング、フェイルオーバーなどを自分で管理する必要がある。
❌ 自動スケーリングが難しい
→ RDSのようなマネージドサービスに比べ、負荷増大時の対応が難しい。
❌ 高可用性を実現するにはコストがかかる
→ 手動でマルチAZ構成やレプリケーションを構築する必要がある。
コスト
- EC2インスタンスの料金(vCPU, メモリによる)
- EBSストレージ料金(プロビジョンドIOPSを追加すると高額になる)
- バックアップS3料金(スナップショットをS3に保存する場合)
- 運用コスト(運用管理の手間を考慮する必要あり)
2. RDS for PostgreSQLを利用する場合
メリット
✅ フルマネージドで運用負担が少ない
→ パッチ適用、バックアップ、フェイルオーバー、自動スケーリングがAWSにより管理される。
✅ マルチAZ構成が簡単
→ フェイルオーバーが自動で行われ、可用性が向上。
✅ 自動バックアップ機能あり
→ スナップショットやPoint-in-Time Recoveryが利用可能。
✅ スケールアップ・スケールダウンが簡単
→ インスタンスタイプの変更やリードレプリカの追加がGUIで可能。
デメリット
❌ カスタマイズの自由度が低い
→ PostgreSQLの特定の拡張機能やOSレベルの設定変更ができない。
❌ EC2よりコストが高い場合がある
→ マネージドサービスのため、管理コストが上乗せされる。
❌ ストレージの柔軟性が低い
→ EBSと違い、特定のI/O最適化オプションを選択する必要がある。
コスト
- RDSインスタンス料金(EC2と同様にvCPU, メモリによる)
- ストレージ料金(RDS専用のストレージ)
- データ転送料金(VPC内通信は無料、VPC外通信は課金)
- 自動バックアップのストレージ料金(無料枠あり)
3. コスト比較(例)
ケース1: 小規模(t3.medium, 2vCPU, 4GB RAM, 100GB SSD)
| 項目 | EC2 (PostgreSQL 自前管理) | RDS (PostgreSQL マネージド) |
|---|---|---|
| インスタンス料金 | 約 $32/月 | 約 $61/月(シングルAZ) |
| ストレージ (100GB) | 約 $10/月 | 約 $12.5/月 |
| バックアップ | S3に保存 ($5~10/月) | 無料(ストレージと同サイズまで) |
| 運用コスト | 高(エンジニアの手間) | 低(AWS管理) |
| 合計 | $47~52/月 | $73.5/月 |
ケース2: 中規模(r6g.large, 2vCPU, 16GB RAM, 500GB SSD)
| 項目 | EC2 (PostgreSQL 自前管理) | RDS (PostgreSQL マネージド) |
|---|---|---|
| インスタンス料金 | 約 $100/月 | 約 $170/月(シングルAZ) |
| ストレージ (500GB) | 約 $50/月 | 約 $62.5/月 |
| バックアップ | S3に保存 ($20/月) | 無料(ストレージと同サイズまで) |
| 運用コスト | 高(エンジニアの手間) | 低(AWS管理) |
| 合計 | $170/月 | $232.5/月 |
ケース3: 大規模(r6g.2xlarge, 8vCPU, 64GB RAM, 1TB SSD, マルチAZ)
| 項目 | EC2 (PostgreSQL 自前管理) | RDS (PostgreSQL マネージド) |
|---|---|---|
| インスタンス料金 | 約 $400/月 | 約 $850/月(マルチAZ) |
| ストレージ (1TB) | 約 $100/月 | 約 $125/月 |
| バックアップ | S3に保存 ($50/月) | 無料(ストレージと同サイズまで) |
| 運用コスト | 高(エンジニアの手間) | 低(AWS管理) |
| 合計 | $550/月 | $975/月 |
4. どちらを選ぶべきか?
EC2を選ぶ場合
- PostgreSQLの設定を細かくカスタマイズしたい
- コストをできるだけ抑えたい(小規模構成向け)
- 専任のDB管理者がいる
- 特殊な拡張機能(PostGIS, Citusなど)を使いたい
RDSを選ぶ場合
- 運用の負担を減らしたい
- 自動バックアップ・フェイルオーバーが必要
- スケールアップ・スケールダウンを簡単にしたい
- 可用性を重視したい(マルチAZ構成)
5. まとめ
| 項目 | EC2 | RDS |
|---|---|---|
| 運用負担 | 高い(手動管理) | 低い(AWS管理) |
| カスタマイズ性 | 高い(自由に設定可) | 低い(制限あり) |
| コスト | 安め(小規模向け) | 高め(中〜大規模向け) |
| スケーラビリティ | 手動対応が必要 | 簡単にスケール可 |
| 高可用性 | 自前で構築 | マルチAZで簡単 |