AWS上でPostgreSQLを運用する場合、EC2にPostgreSQLをインストールする方法とRDS(Relational Database Service)を利用する方法

 

1. EC2でPostgreSQLを運用する場合

メリット

カスタマイズ自由度が高い
→ OS、PostgreSQLのバージョン、パラメータ、拡張機能PostGISなど)を自由に設定可能。
コストを最適化しやすい
→ RDSの管理コストがかからず、小規模構成なら安く抑えられる。
サーバーごとに細かいチューニングが可能
→ 高速なストレージ(EBS)、専用のキャッシュ、カスタムバックアップスクリプトなどを組み込める。

デメリット

運用管理の負担が大きい
→ パッチ適用、バックアップ、スケーリング、フェイルオーバーなどを自分で管理する必要がある。
自動スケーリングが難しい
→ RDSのようなマネージドサービスに比べ、負荷増大時の対応が難しい。
高可用性を実現するにはコストがかかる
→ 手動でマルチAZ構成やレプリケーションを構築する必要がある。

コスト

  • EC2インスタンスの料金(vCPU, メモリによる)
  • EBSストレージ料金(プロビジョンドIOPSを追加すると高額になる)
  • バックアップS3料金(スナップショットをS3に保存する場合)
  • 運用コスト(運用管理の手間を考慮する必要あり)

2. RDS for PostgreSQLを利用する場合

メリット

フルマネージドで運用負担が少ない
→ パッチ適用、バックアップ、フェイルオーバー、自動スケーリングがAWSにより管理される。
マルチAZ構成が簡単
→ フェイルオーバーが自動で行われ、可用性が向上。
自動バックアップ機能あり
→ スナップショットやPoint-in-Time Recoveryが利用可能。
スケールアップ・スケールダウンが簡単
インスタンスタイプの変更やリードレプリカの追加がGUIで可能。

デメリット

カスタマイズの自由度が低い
PostgreSQLの特定の拡張機能やOSレベルの設定変更ができない。
EC2よりコストが高い場合がある
→ マネージドサービスのため、管理コストが上乗せされる。
ストレージの柔軟性が低い
→ EBSと違い、特定のI/O最適化オプションを選択する必要がある。

コスト

  • RDSインスタンス料金(EC2と同様にvCPU, メモリによる)
  • ストレージ料金(RDS専用のストレージ)
  • データ転送料金VPC内通信は無料、VPC外通信は課金)
  • 自動バックアップのストレージ料金(無料枠あり)

3. コスト比較(例)

ケース1: 小規模(t3.medium, 2vCPU, 4GB RAM, 100GB SSD

項目 EC2 (PostgreSQL 自前管理) RDS (PostgreSQL マネージド)
インスタンス料金 約 $32/月 約 $61/月(シングルAZ)
ストレージ (100GB) 約 $10/月 約 $12.5/月
バックアップ S3に保存 ($5~10/月) 無料(ストレージと同サイズまで)
運用コスト 高(エンジニアの手間) 低(AWS管理)
合計 $47~52/月 $73.5/月

ケース2: 中規模(r6g.large, 2vCPU, 16GB RAM, 500GB SSD

項目 EC2 (PostgreSQL 自前管理) RDS (PostgreSQL マネージド)
インスタンス料金 約 $100/月 約 $170/月(シングルAZ)
ストレージ (500GB) 約 $50/月 約 $62.5/月
バックアップ S3に保存 ($20/月) 無料(ストレージと同サイズまで)
運用コスト 高(エンジニアの手間) 低(AWS管理)
合計 $170/月 $232.5/月

ケース3: 大規模(r6g.2xlarge, 8vCPU, 64GB RAM, 1TB SSD, マルチAZ)

項目 EC2 (PostgreSQL 自前管理) RDS (PostgreSQL マネージド)
インスタンス料金 約 $400/月 約 $850/月(マルチAZ)
ストレージ (1TB) 約 $100/月 約 $125/月
バックアップ S3に保存 ($50/月) 無料(ストレージと同サイズまで)
運用コスト 高(エンジニアの手間) 低(AWS管理)
合計 $550/月 $975/月

4. どちらを選ぶべきか?

EC2を選ぶ場合

  • PostgreSQLの設定を細かくカスタマイズしたい
  • コストをできるだけ抑えたい(小規模構成向け)
  • 専任のDB管理者がいる
  • 特殊な拡張機能PostGIS, Citusなど)を使いたい

RDSを選ぶ場合

  • 運用の負担を減らしたい
  • 自動バックアップ・フェイルオーバーが必要
  • スケールアップ・スケールダウンを簡単にしたい
  • 可用性を重視したい(マルチAZ構成)

5. まとめ

項目 EC2 RDS
運用負担 高い(手動管理) 低い(AWS管理)
カスタマイズ性 高い(自由に設定可) 低い(制限あり)
コスト 安め(小規模向け) 高め(中〜大規模向け)
スケーラビリティ 手動対応が必要 簡単にスケール可
高可用性 自前で構築 マルチAZで簡単